ヒップホップダンスとは?【特徴を解説】
実は、ヒップホップダンスには「これがヒップホップダンスだよ」という明確な定義がありません。
たとえば、ブレイクダンスなら「頭でまわったりアクロバットなことをしたりするダンス」、ポップダンスなら「ロボットみたいな動きや不思議な動きをするダンス」といった、ある程度のイメージがつかめますよね。
しかし、こういった特徴的な動きが、ヒップホップダンスにはありません。
おおくのひとが「ヒップホップダンスってどんなダンスなの?」と疑問をもつのも、これが理由です。
そこで、ヒップホップダンスがどういうダンスかを知りたいのなら、これまでの歴史を学びながら「こんなふうに踊られてきたんだ」と、イメージをつかむのがよいでしょう。
歴史を知ることで、「ヒップホップダンスの特徴がつかみにくい」という理由がわかり、さらにヒップホップダンスの理解にもつながります。
むずかしい話は省きつつ、できるだけわかりやすくお話していくので、ざっと見ていきましょう。
ヒップホップダンスの歴史
上の図は、ヒップホップダンスが誕生した経緯をざっくりまとめたものです。この図をもとに、ヒップホップダンスの歴史について深堀りしていきます。
ヒップホップダンス誕生前の歴史
- 1980年代:オールドスクールのダンスが流行←いまココ
- 1980年後半:ニュージャックスイングが流行
- 1990年代:ヒップホップダンスが流行
ヒップホップダンスの発端は1984年くらいで、流行しはじめたのは1980年代の終わりごろからです。
それまでは、ヒップホップダンスではないジャンルが踊られていました。
例えば、以下のジャンルです。
ブレイクダンス
ロックダンス
ポップダンス
これらは現代にも残るダンスジャンルですが、実はその歴史は、ヒップホップダンスよりも古いのです。
ちなみに、音楽の世界では、1980年代までの音楽を「オールドスクール」といいますが、オールドスクールの時代に踊られていたダンスといえば、上記を指すことになります。
- 1980年代までの音楽を「オールドスクール」という
- この時代に踊られていたのはブレイクダンスなど
ここまでは大丈夫そうですか?
「ヒップホップダンス誕生前には、オールドスクールに分類されるダンスがあった」というのがポイントです。
ニュージャックスイングの流行期
- 1980年代:オールドスクールのダンスが流行
- 1980年後半:ニュージャックスイングが流行←いまココ
- 1990年代:ヒップホップダンスが流行
1980年代から1990年までに、「ニュージャックスイング」という音楽ジャンルが流行しました。
ニュージャックスイングは、アップテンポでノリの良い音楽であることが特徴で、それにあわせて踊る「ミドルスクールヒップホップ」というジャンルが誕生します。下記は参考動画です。
ちなみに「ミドルスクールヒップホップ」は、省略して「ミドルスクール」や音楽ジャンルの名前から「ニュージャックスイング」と呼ぶ方もいます。
ですので、「ミドルスクール(ヒップホップ)」や「ニュージャックスイング」は、おなじ意味という認識でOKです。
「ミドルスクール」と「ニュージャックスイング」は、正確にいうとちがう意味です。しかし、おなじものとして呼んでいる方がおおいので、いったんはおなじものとして覚えてOKです。
ヒップホップダンスの誕生
- 1980年代まで:オールドスクールのダンスが流行
- 1980年中盤:ニュージャックスイングが流行
- 1990年代:ヒップホップダンスが流行←いまココ
ニュージャックスイングの流行にさしかかる1984年ごろ、ヒップホップミュージックにも新しいタイプの音楽が誕生していました。
それと同時に、ニューヨークでは、新しいヒップホップミュージックにあわせ、新しいダンスが踊られるようになります。
時系列は下の図で整理しましょう。
実は、このときに踊られていた「新しいダンス」とは、既存のジャンル(ブレイクやポップなど)の動きを自由に組み合わせるダンスで、「さまざまなジャンルの動きを自由に踊る」という意味から「フリースタイル」と呼ばれていました。
しかし、のちにフリースタイルは、ヒップホップミュージックで踊っていることを理由に「フリースタイルヒップホップダンス」と呼ばれるようになります。
これが「ヒップホップダンスの起源」です。
冒頭で「ヒップホップダンスには特徴的な動きがない」と言いましたが、それは、さまざまなジャンルの動きを自由に取り入れているからです。おなじ理由から、ダンスの世界では「ヒップホップダンスは自由なダンス」というひともいます。
ちなみに、ニューヨークで「フリースタイル」を始め、ヒップホップダンスを創りあげた人物たちを、現代のひとは「レジェンド(伝説)」と呼んでいます。
本記事ではくわしくふれませんが、レジェンドや「ヒップホップダンスが日本に伝達した経緯」についてくわしく解説した記事もあるので、さらに理解を深めたい方は下記も参考にしてみてください。
ヒップホップダンスの種類9つを紹介
1990年代に広がりはじめたヒップホップダンスは、様々なテレビ番組や映画でも踊られるようになり2000年代になっても拡大し続けます。
実際に、1990年当時は、ニューヨーク風のヒップホップダンスが流行しましたが、現代では日本独自のスタイルやヨーロッパ風のスタイルなど、キリがないほど存在します。
以下では、ヒップホップダンスの種類(踊り方)を参考動画とともに見ていきましょう。
ニューヨーク風のヒップホップダンス
ヒップホップダンスが誕生した1984年から踊られているスタイルです。
ヒップホップダンスのもともとの形ともいえますね。
さまざまなステップや技を組み合わせて踊るのが特徴です。
ヨーロッパ風のヒップホップダンス
ヨーロッパ風のヒップホップダンスは、音楽をこまかく取ったり独特な動きをしたりする特徴があります。
日本でこういった踊り方をするひとはすくないですが、海外(特にヨーロッパ)ではこういった踊り方をするダンサーがおおいので、ヨーロッパ風のスタイルとして紹介します。
アンダーグラウンドヒップホップ
重低音の音楽や強めのビートの音楽で踊るのが特徴です。
日本特有のスタイルとしても知られており、特に日本のヒップホップダンス界ではこういった踊り方をするひとがおおいです。
ミドルスクールヒップホップ
すでに紹介した「ニュージャックスイング」という音楽に合わせて踊るスタイルです。
特徴は、早いテンポの曲で軽快に踊ること。
ミドルスクールヒップホップについては下記の記事でも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
STYLE HIPHOP(スタイルヒップホップ)
ロサンゼルスから発信されたスタイルで、「LAスタイル」とも呼ばれます。
曲の歌詞や世界観の表現を重視しており見た目がオシャレなので、かなり人気のスタイルです。
R&Bヒップホップ
「R&B」とは音楽ジャンルのことですが、R&Bの曲に合わせて踊るのが「R&Bヒップホップ」です。
スタイルヒップホップと似ているところがあり、最近はあまり聞かないスタイルとなりました。
ジャズヒップホップダンス
ジャズダンスにヒップホップの要素を取り入れたスタイルで、バックダンサーやアーティストの振り付けでよく踊られています。
しかし、ジャズヒップホップは踊り手によって表現の仕方が異なるので、はっきり「これがジャズヒップホップ」とは言えません。
ヒップホップジャズ
ジャズヒップホップはジャズダンスがベースのスタイルですが、ヒップホップダンスをベースにしてジャズの要素を加えたスタイルが「ヒップホップジャズ」です。
実はヒップホップジャズとジャズヒップホップについての認識はあまり広くないため、混同して教えられているところも少なくありません。
とはいえ、ヒップホップダンスは自由に表現されることが正解なので、ちがうスタイルに見えるからといってダメなわけではないです。
ガールズヒップホップ
カンタンにいうと「女性が踊るヒップホップダンス」です。
女性らしさを強調するスタイルで、初心者にも好まれているスタイルです。
ヒップホップダンスを踊っている有名人
EXILE
「Choo Choo TRAIN」は誰もが知る名曲ですね。
この曲で踊られているのは「ミドルスクールヒップホップ」。
リズミカルなダンスが特徴です。
DA PUMP
「DA PUMP」の最新曲「Dream on the street」では、ヒップホップダンス以外のジャンルも踊られていますね。
ヒップホップダンスでいうと、スタイルヒップホップやクランプ・ミドルスクール風のダンスが踊られています。
三浦大知
三浦大知さんのMVでは、スタイルヒップホップが踊られています。
ご本人のレベルもかなり高いですが、出演しているダンサーも国内外で活躍されている方々なので、非常に参考になりますね。
ヒップホップダンスの基本を解説【基礎とステップ】
以下では、これまでの歴史のなかで生まれた「ヒップホップダンスの基礎」や「基本ステップ」を紹介するので、興味があればぜひ参考にしてください。
ヒップホップダンスの基礎
一般的には「リズム取り」と「アイソレーション」の2つが基礎とされています。
「リズム取り」とは、ダンスを踊るときに音楽のリズムに合わせること。「アイソレーション」とは、からだの特定の部位だけを思うにコントロールすることです。
練習の内容は、下記の動画をぜひ参考にしてください。
参考①:リズムトレーニングはこちら
参考②:アイソレーションのトレーニングはこちら
ヒップホップダンスの基本ステップ
実は、ヒップホップダンスで使われるステップは”ほぼ無限”に存在します。
それは、ヒップホップダンスではさまざまなジャンルのステップが使われたり、いまもなお新しいステップが誕生したりしているからです。
以下の動画では、無限にあるステップのうち47種を紹介しているのでぜひ参考にしてください。
おまけ:ヒップホップダンスの振り付けはこんな感じ
基礎や基本ステップを紹介したので、おまけとしてヒップホップダンスの振り付けも紹介しておきます。
ヒップホップダンスはどんな曲で踊られる?
もともとのヒップホップダンスとは、ヒップホップミュージックで踊られるダンスのことでした。しかし、現代ではあらゆる音楽で踊られるため、「選曲は踊り手しだい」という感じです。
たとえば、流行の音楽で踊ることが好きなダンサーは流行しているキャッチーな曲で踊り、クラシックなヒップホップミュージックが好きなダンサーはクラシックな曲で踊ります。
ダンス初心者の方は、まず有名なヒップホップミュージックから手をつけて、すこしづついろんなジャンルの音楽も聴いてみると良いです。
まとめ:ヒップホップダンスとは音楽とともに進化するジャンル
ヒップホップダンスの誕生は1980年代
正しくは「フリースタイルヒップホップダンス」のこと
ヒップホップダンスの特徴は踊り手によって異なる
ヒップホップダンスで使われる曲やステップも踊り手しだい
ヒップホップダンスは「音楽とともに進化するジャンル」とも言えますね。
新しい音楽が流行すれば、その音楽で踊るダンサーが現れ、新しいステップも誕生する。つまり、新しい表現が誕生するということです。
ヒップホップダンスは、つねに音楽とともに変化していくので、そういった変化を楽しんでいけると良いですね。