池坊のいけばな

  • 「池坊専応口伝」のモニュメント「池坊専応口伝」のモニュメント

 自然に恵まれた日本では、四季折々に美しい草木が見られます。春の芽生え、夏の繁茂、秋の彩り、冬の枯枝…これらは草木が生きているからこそ現れるものです。

 池坊では草木の命が作り出す姿を美しさの根源とし、そこには「和」があると考えます。つまり、草木の命が日々太陽や雨や風などに出会い、新たな姿へ変化することが「和」なのです。

 虫食い葉・先枯れの葉・枯枝までも、みずみずしい若葉や色鮮やかな花と同じ草木の命の姿ととらえ、美を見出すことが池坊の花をいける心であり、理念です。こうした池坊の理念は、室町時代後期に池坊専応によって確立され、花をいける技とともに今に伝えられています。

池坊の3つのスタイル

池坊のいけばなには「立花(りっか)」「生花(しょうか)」「自由花(じゆうか)」の3つのスタイルがあります。立花は室町時代から続く最も古い様式、生花は江戸時代に成立したシンプルな様式、自由花は戦後に定着した型のない様式です。こちらでは、それぞれの特徴をご紹介します。

  • 立花
  • 立花(りっか)立花は室町時代に成立した最も古い様式で、多種多様な草木により大自然の風景を表現します。
  • 生花
  • 生花(しょうか)生花は江戸時代に成立した様式で、1~3種類の花材を用い、草木が地に根を張り生きる姿を表現します。
  • 自由花
  • 自由花(じゆうか)定まった型はなく、草木の形状や質感にも目を向けながら文字通り自由にいける様式で、幅広い表現が可能です。